(前回からの続き)
その「彼」とは、有限会社微笑庵代表取締役 宮澤啓氏です。
微笑庵さんは、ここ数年、「ちごもち」で多くの方に知られています。
宮澤氏は私の小学校時代からの友人で、今では刺激をくれる経営者仲間です。
事前に打ち合わせをさせて頂き、今回のテーマに合わせて、
彼が考えてくれた演題が「『和菓子ルネッサンス宣言』に秘めた思い」。
「和菓子ルネッサンス」という言葉が出てからの加速感を間近で見ていたので、
まさに皆様に聴いて頂きたいポイントとピッタリでした。
さて、「和菓子ルネッサンス宣言」とは何か?
これは、微笑庵さんのコンセプトを現した宣言文です。
まずはお読みください。(以下、微笑庵HPより。)
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和菓子ルネッサンス宣言
〜先人の知恵を今に生かす菓匠を目指して〜
心から心に伝わる上質な和菓子を通して、召し上がった方に至福の微笑みをお届けしたい。そんな想いから微笑庵は生まれました。
もともと名人と呼ばれるほどの技術もなく、かといって経営的なセンスが良いわけでもなく、ただただ美味しいお菓子でお客様に喜んで頂きたいと、不器用にもがき続ける中で、たくさんの方に支えられて現在の微笑庵があります。
そうした方々のご恩に報いるためにも、和菓子店として、菓子職人として、日々の生活に潤いや豊かさを提供し、召し上がった方に感動を提供できるよう、日々精進を重ねてゆく所存です。これからもお客様に愛される和菓子店であり続けるために、ここに和菓子ルネッサンス宣言を掲げ、微笑庵が進むべき道標とさせて頂きます。
選択と集中
後世に残したい程の価値ある和菓子に集中し、あれこれ作りません。
厳選素材
原価が高いために市場にあまり出回らない希少な素材を積極的に使います。 こだわりの生産現場や生産者には積極的に会いにゆきます。
技術研鑽
技術とは神業的なものではなく、当たり前のことを地道に積み重ねる業です。 一見地味で単調な作業にこそ心を尽くし、謙虚に日々の研鑽に励みます。
鮮度追求
つくりたての美味しさを追求します。
和菓子×デザイン
日本の美を感じさせるデザインで提供します。
一期一会
おもてなしの心でお客様と接します。
温故知新
先人の智慧に学ぶこと、古典を学ぶことを大切にします。
家族経営の小さな和菓子屋にすぎない私共ではありますが、お客様、お取引会社様、そして地域の皆様にご意見やお叱りを頂きながら、少しでも成長したいと思っております。大きな夢を持ちつつ、地道に精進を重ね、日々努力してゆく所存です。
どうぞ末永くご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。
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以上、いかがでしょうか。
コンセプトをまとめるとこうなると思います。
<何を>
後世に伝えたい和菓子を、素材と意匠にこだわり、つくり立てでお出しする
<誰に>
そのような和菓子に特別な価値を感じるお客様
<どのように>
お店で製造して、つくりたてのうちに販売する
このようにコンセプトが決まると、やるべきこともクリアになり、
地域において独自のポジションを占められれば戦いがなくなります。
さらに、微笑庵という名前自体には、同社のミッションが込められています。
「微笑」は、仏教の「拈華微笑」(ねんげみしょう)という言葉から来ています。
拈華微笑(Wikipediaより)
インドの霊鷲山(グリドラクータ)上で釈尊が黙って華を拈(ひね)ったところ、大衆はその意味を理解することができなかったが、迦葉尊者だけがその意味を理解して破顔微笑したため、迦葉に禅の法門を伝えたという。
以上のような逸話から、
心から心に伝わる上質な和菓子で召し上がった方に
至福の微笑みをお届けすることをミッションにしています。
和菓子を売っているのではなく、
和菓子を通じて価値を売っているというのが分かります。
<つづく>
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