2018年1月10日水曜日

いくらくらいの黒字を目指すべきか?

昨日の続きです。

果たして、1円でも黒字なら良いのでしょうか。

利益は企業存続・発展の条件だとすれば、
どのくらい利益をあげれば、
企業の存続・発展に資することができるのでしょうか。

この点について、ドラッカーはこのように説いています。

企業には最低限あげるべき利益というものがある。
それは自らの将来のリスクをカバーし、
事業を継続していくために必要とされる利益である。

企業の状況によって、絶対的な正解はないから、
何らかの基準に従って考えなければなりません。

例えば、以下のような基準が用いられたりします。
(これらがすべてではありません。あくまで考え方の一部です。)

(1) 要返済額から考える
例えば、年間100万円を返済しなければならない企業があったとします。
この返済原資は何でしょうか?もちろん利益です。

では、100万円を利益から返済するには、
いったいいくら利益を出さねばならないか。

税引後の利益を100万円、仮に税率50%とすると、
税引前の利益で200万円必要です。

しかし、これでは、将来の費用に充てるべき内部留保は残りません。

もちろん、減価償却費があったりすると計算が変わってきますが、
今回は話をシンプルにするのに、考慮しません。

(2) 一人当たり経常利益
この本にこんな話が出ていました。
(制度が変わったので、現在では使えない部分もありますが、
考え方などは参考になってオススメです。)












社員一人当たりの経常利益が、
5万円だと、4200円の昇給で赤字に転落、
15万円だと、みんなにパソコンで赤字コース、
50万円だと、みんなでヨーロッパで赤字コース、
100万円だと、ちょっとつかいきれないかもコース。

昇給したら赤字、パソコン1台ずつ買ったら赤字、
というのは、やはり厳しいですね。

ちなみにこの本では、
一人当たり経常利益は200万円を目指すべきとしています。

中小企業経営は常にリスクにさらされているから、
事業継続に内部留保は欠かせませんが、
なかなかのハードルです。

(3) 売上高経常利益率
利益は自社の仕事ぶりを図る物差しでもあります。

商品・サービスが独自化または差別化されていて、
自社が望む価格で顧客が喜んで購入してくれれば付加価値が向上します。
さらに、市場を絞ることにより、生産性もアップして、費用が低くなります。
そうすると、売上高に占める経常利益率が高くなります。

業種にもよりますが、5%超、10%超となれば、
差別化・独自化の一つの目安になるでしょう。

以前、素晴らしい先輩経営者から、
「当社は売上高経常利益率5%以下は赤字。」
というお話を聞いて、驚いたことがありました。

そのような基準を持ち、自らにハードルを課す姿勢は、
本当に尊敬できますね。

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